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生活保護110番を運営する管理人の覚え書き。
 2007/12/20 Thu 00:00:00  E d i t
生活保護VSワーキングプア (PHP新書 504)生活保護VSワーキングプア (PHP新書 504)
(2008/01/16)
大山 典宏

商品詳細を見る


「ネットカフェ難民、ワーキングプア!?そんなの自己責任でしょ」という人にこそ、読んで欲しい本です。

反響続々!現在4刷、23,000部!

書評など掲載
朝日新聞、産経新聞、新聞赤旗、福祉新聞、asahi.com、読売ウィークリー、都市問題、週刊エコノミスト、月刊労働組合


 2007/12/20 Thu 13:18:15  E d i t
メルマガ告知に先立ち、ひっそりと告知します。


 書 名 『生活保護vsワーキングプア 若者に広がる貧困』
 出版社 PHP新書
 発売日 2008年1月15日 ※店頭に並ぶのは16日以降です

「おにぎり食べたい」――日記にそう書き残して孤独死した男性は、数ヶ月前
まで「生活保護」を利用していた。北九州市で続発する餓死事件。役所が繰り広
げられる水際作戦。一方で、「怠け者が生活保護を食い物にしている」という報
道も後を絶たない。明らかにされるワーキングプアとの根深い関係――。「生活
保護400万円相当(4人世帯)>ワーキングプア」という衝撃の事実からあぶ
り出される真実とは?生活保護の専門家として3500件以上の相談に応じてき
た著者が、生活保護の現場から格差是正の処方箋を示す。

(目次)
 第一章 若者に広がる貧困
 第二章 「生活保護=悪」のイメージ
 第三章 元ケースワーカーが語る生活保護のしくみ
 第四章 水際作戦の正体
 第五章 若者が生活保護を受ける
 第六章 プチ生活保護のススメ
 第七章 新しい支援の芽

(著者略歴)

大山典宏(おおやま・のりひろ)

1974年埼玉県生まれ。元生活保護ケースワーカー。ボランティアでウェブ
サイト「生活保護110番」を運営。同サイトは累計アクセス165万件以上、相
談件数3500件以上、会員数2000名以上、専門家267名が参加する生活
保護ではオンリーワン&ナンバーワンサイト。弁護士や司法書士が開催する
電話相談のアドバイザーを務めたり、『プチ生活保護のススメ』(大田のりこ
著、クラブハウス)の監修を務めるなど、生活保護の専門家として幅広い活動
を続けている。

ウェブサイト「生活保護110番」
http://www.seiho110.org


担当編集者は、240万部突破のミリオンセラー『女性の品格』(PHP新書)
を手がけた横田紀彦さんです。『生活保護vsワーキングプア』というタイトルも
横田さんの発案です。

知り合いのジャーナリスト、研究者、運動団体の支援者、ケースワーカーなど
に紹介していますが、前評判はおおむね好評です。

昨年から今年にかけて大きく揺れ動いた生活保護行政(北九州市の餓死・孤独
死事件の続発、弁護士などの支援運動の盛り上がり、そして、最低生活費切り下
げの動き)や、流行語大賞候補となったネットカフェ難民やワーキングプアと生
活保護の関係など、漠然と感じている閉塞感の正体をクリアにできる本になった
と考えています。
 2007/12/20 Thu 13:19:49  E d i t
生活保護vsワーキングプア●目次

はじめに ワーキングプア、ネットカフェ難民、ニート、ひきこもり・・・・・・
――みんなが生活保護を受けたらどうなるの?

第一章 若者に広がる貧困

意外な相談者の姿
彼氏と同棲しているが生活できない
自業自得、自己責任?
正社員としての再就職は難しい
がんばりが足りなかったのか?
「彼」が助けなかったとしたら?
消費者金融に手を出したとしたら?
彼がいらだちを彼女に向けたら?
彼女が妊娠したら?
九八年に社会が変わった
彼女がいらだちを子どもに向けたら?
問題のすべてを包括する「怪物」の正体
彼女は生活保護を利用できるのか?

第二章 「生活保護=悪」のイメージ

勧善懲悪では割り切れない
燃え上がる街のシンボル
報道ができるまで
抗議文を送った北九州市
北九州市「辞退届」事件
「打ち切りは適切だった」
素早い動きをみせた市民団体
深刻な対立
もうひとつの報道
不正受給額は計七二億円
畠山鈴香被告と生活保護
生活保護ニートの連鎖
「水際作戦」と「受給者バッシング」
つくられる悪のイメージ

第三章 元ケースワーカーが語る生活保護のしくみ

鳴り止まない電話
生活保護の拒否六六が違法?
申請前の面接相談
どれくらいの金額が保証されるのか?
補足制の原理
扶養義務と稼働能力
親族にどこまで扶養を求めるのか?
働けるか判断が難しいケース
自宅を処分しろという指導
借金を理由に拒否
申請のハードルは高くなるばかり
支援者の空洞化

第四章 水際作戦の正体

生活保護は増えているのか?
利用者の世帯類型
水際作戦の正体
壊れる若者たち
生活保護の未来の姿
利用はわずか〇・二%
適正実施のシナリオ
子どもたちを排除するセーフティネット

第五章 若者が生活保護を受ける

偏見という眼鏡

「介護福祉士の資格を取って社会に貢献したい」

きっかけは夫の逮捕
家族は助けてくれない
働けないならでていけ!
発作的に就職したくなる
頑なさがもうすこしほぐれていけば

「ぼくらの生活を知らせちゃいけないのか」

ライター、IT起業家として
妻は何もかもを受け入れようとした
夢の中で「ごめんね」と帰ってくる
額面二〇万のサラリーマンと同じ
大事なのは両面作戦

「まだいけるかなと思っていました」

両親の思想、義兄による性的虐待
一時保護所から児童養護施設へ
母との再会
大量服薬による自殺未遂
独り暮らしを始める
出会い系サイトで彼と知り合う
支援者は諦めることも必要

「これからは苦しんでいるお母さんたちを助けたい」

どうして逃げなくちゃいけないのか
電話が壊れるまで殴られた
息子に責められる毎日
「あなた生活保護を受けなさい」
児童福祉司に叱られた
児童手当は夫のもの?
人生何度でもやり直しができる

第六章 プチ生活保護のススメ

生活保護の評価は可能か?
押し寄せる目標管理の波
もっとも重要なものは「使命」である
使命は困っている人を救うこと?
より多くの人に、より高い質の自立を提供する
たくさんの人を自立させる
放置したときのコストを計算する
予防という副次的効果
ケースワーカーの意識が変わる
入りやすく、出やすい制度へ

第七章 新しい支援の芽

絵に描いた餅
希望のさいたま方式
誰でも気軽に相談できる場を
利用者の権利を守るために
ほっと温まる居場所づくり
利用者の自立を目指して
精神障害者・ホームレスを地域に戻す
支援者が集まる「場」をつくる
広がる取組み
支援の芽を育てるために

おわりに

出版のきっかけ 
 2008/01/12 Sat 22:04:19  E d i t

「本を出したいなあ」と漠然と考え始めたのは、ちょうど、昨年の4月ごろ
になります。

職場の仕事も3年目で余裕が出てきたこともあり、「なにかやりたいなあ」
と思っていたのです。実は、前々からやりたいやりたいと思って、なかなか
できないことがありました。暖かくなったので、思い切ってやってみよう。

そう思って始めたのが、「サイトの利用者に会って、インタビューをする」
という試みです。皆さんもご存知のことかと思いますが、一昨年の終わりご
ろから、格差や貧困に関する議論がマスコミで大きく取り上げられるように
なりました。私の所にも取材依頼が殺到(と言っていいでしょう)し、サイ
トの利用者宛にたびたび取材依頼のメールを送るようになりました。

もちろん、記者の方などから間接的に「どんな方だった」という話は聞くの
ですが、自分でも会ってみたいという気持ちが強くなりました。

思い切って何人かの方にメールを差しあげたところ、「会ってもよい」と返
事をくれた方がいらっしゃいました。4月から5月にかけて、4名の利用者
にインタビューをさせていただき、聞いた内容をテープから起こしていきま
した。もともとはサイト・コンテンツのひとつとして追加するつもりだった
のですが、なんだかそれだけではもったいないなあと感じていました。

そんな時、ある週刊誌の記者のインタビューを受けました。

諸々、お話をさせていくなかで、「こういう若い生活保護の利用者の声が届
けられるような本を出したいと思うんです」という話題を振ったのです。


いやあ、そういうのは、あんまりニーズがないと思いますよ。


...といわれていたら、たぶん、今回の本は出ていなかったでしょう。

幸いなことに、記者はとても興味をもってくださり、同じ出版社の新書編集
部に企画書を持ち込んでくださいました。残念なことに、その出版社では企
画は実を結びませんでしたが、その記者は「絶対に出してくれる出版社があ
るはずだから、他にも持ち込んだ方がいい。自分が協力してもいい」と言っ
てくださいました。

それなら、ということで今までもらった名刺をみながら、マスコミ関係者に
「本を出したいので、編集者を紹介して欲しい」というメールを送ることに
しました。

本来であれば、取り立てて目立つキャリアもない平(ひら)の地方公務員で
す。無視されたり、やんわりと断られてしまうのではないかという不安が大
きかったです。

しかし、これも本当に幸いなことに、多くの方から「知り合いの編集者に声
をかけてみるよ」と返信をいただきました。

そして、いくつかの出版社に企画書を持ち込み、その中で「会ってもいい
よ」と声をかけてくださったのが、前回、ご紹介したPHP新書の横田さん
です。

緑豊かな英国大使館にほど近いPHP研究所東京本部に足を運び、いよいよ
企画のプレゼンテーションをすることになります。

事前に企画書や見本原稿はお渡ししていましたが、実は、その他に2枚の
ペーパーを用意していました。企画のプレゼンの時に、この2枚を効果的に
使うことができれば、(もしかしたら)出版の話も通るかもしれないと思っ
ていました。


(つづく)

テーマ:生活保護 - ジャンル:福祉・ボランティア

2枚のペーパー 
 2008/01/13 Sun 18:12:28  E d i t
昨年、格差や貧困が報道に大きく取り上げられ、たくさんの報道関係者が私
のもとを訪れました。目的は生活保護の利用者に代表される「貧困に苦しむ
人たち」の生の声を集めたいというものです。

私は、「取材対象者を紹介することはできるが、その前に必ず会って話をさ
せてくれ」と頼んでいました。平均すると2時間くらいになるでしょうか、
生活保護の基本的なしくみから、現在の動向まで、手を変え、品を買え、お
話をしました。

その会話の内容が『生活保護vsワーキングプア』の骨子になっていること
はいうまでもありません。

そのいわゆる取材の場で、かならず提示することにしていたペーパーがあり
ました。

それがこれです。↓

相談件数


生活保護110番では、3500件を超える相談を受けつけています。これ
を世代別に統計を取ったものです。

ひと目でわかるのは「20代、30代の女性がすごく多い」ということで
す。

このペーパーを示すと、たいていの記者は「すごいですねえ」と言います。


そして、「なぜ?」という疑問を投げかけます。

大抵の取材では、このペーパーの疑問から取材が始まり、なぜ20代、30
代の若者に生活に困る人が増えているのか――若者に貧困が広がっているの
か――を伝えていくことになります。


そして、多くの場合、取材の記事には、

「生活保護110番の大山によれば、『20代、30代に貧困が広がってい
る』という」

というコメントが挿入されます。


2007年の取材では、表現の変化はあるにしろ、ほとんど一貫して採用さ
れたコメントは、「若者に広がる貧困」でした。


編集者も、これが「問題だ」と感じてくれれば出版へのきっかけをつかめる
のではと考えたのです。


――しかし、これだけでは足りないと感じていました。

私の書くのは、生活保護の本しかありません。おそらく、編集者はこう思う
でしょう。


    『20代、30代に貧困が広がっている』

             ↓

           これは問題だ

             ↓

       若者を生活保護で救うべきだ


この論旨展開が、一般に受け入れられるかどうか?


生活保護の専門書を出すつもりで、福祉や人権に造詣の深い出版社であれば、
このような論理展開の本でも出版に結びつくかもしれません。

しかし、私が出したかったのは、「生活保護をよく知らない、抱くのは悪い
イメージしかない普通の人たちに向けた教養書」でした。

より多くの人に、安価で手にとってもらえる本にしたい――そういう気持ち
から、私は当初から新書による出版にこだわっていました。新書の編集者の
多くは、ありとあらゆるテーマの本を手がけています。もちろん、頭のいい
人たちばかりでしょうが、すんなりと「若者を生活保護で救うべきだ」とい
う主張にうなずいてもらえるとは思えません。


私は、否、と考えました。


普通の人は、「若者が生活保護を受けるなんて、とんでもない」と考えてい
る。


少なくとも、「えっ」とは思う。


その時に、「若者に手を差し伸べなければならない」と思ってもらえるよう
な材料がどうしてもいる。

それも、言葉を尽くして訴えるのではなく、直感で「これはまずいだろう」
と感じてもらえなければ、ダメだ。


そして、用意したのがもう一枚のペーパー(切り札)です。


プレゼン当日、横田さんに一枚目のペーパーをみせると、予想通り、「これ
はすごいですねぇ」という反応が返ってきました。


その後すぐに、横田さんからこんな言葉がでました。

「でも、生活保護を受けている若い人には、不正をしている人が多いってい
うじゃないですか。車を乗り回したり、パチンコをしたりとか。若いうちか
ら仕事をせずにお金をもらうっていうのは、やっぱり違和感があるんですけ
どね」

それは確かにその通り。

自堕落な生活をする人もいるし、不正受給をする若い人もいる。それは否定
できません。


――でも、そういう意見のなかで、切り捨てられていった人がいます。彼ら
は不正受給をしたりしない(したくてもできない)。権利が守られていない
ことを、声高に叫んだりもしない。でも、誰もが「大事にすべきだ!」とい
う人たちです。


これを見てください。


そうお伝えして、切り札を差し出しました。

『生活保護vsワーキングプア』のP135のグラフがそれです。


横田さんは、そのグラフをじっと見ながら、私の話を聞いてくれました。
話を聞き終わったあと、言いました。


「この企画、ぜひ、本にしましょう」


(おわり)


*グラフがみたい人は、本屋で『生活保護vsワーキングプア』を手に
取ってくださいね。

テーマ:生活保護 - ジャンル:福祉・ボランティア