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生活保護110番を運営する管理人の覚え書き。
2枚のペーパー 
 2008/01/13 Sun 18:12:28  E d i t
昨年、格差や貧困が報道に大きく取り上げられ、たくさんの報道関係者が私
のもとを訪れました。目的は生活保護の利用者に代表される「貧困に苦しむ
人たち」の生の声を集めたいというものです。

私は、「取材対象者を紹介することはできるが、その前に必ず会って話をさ
せてくれ」と頼んでいました。平均すると2時間くらいになるでしょうか、
生活保護の基本的なしくみから、現在の動向まで、手を変え、品を買え、お
話をしました。

その会話の内容が『生活保護vsワーキングプア』の骨子になっていること
はいうまでもありません。

そのいわゆる取材の場で、かならず提示することにしていたペーパーがあり
ました。

それがこれです。↓

相談件数


生活保護110番では、3500件を超える相談を受けつけています。これ
を世代別に統計を取ったものです。

ひと目でわかるのは「20代、30代の女性がすごく多い」ということで
す。

このペーパーを示すと、たいていの記者は「すごいですねえ」と言います。


そして、「なぜ?」という疑問を投げかけます。

大抵の取材では、このペーパーの疑問から取材が始まり、なぜ20代、30
代の若者に生活に困る人が増えているのか――若者に貧困が広がっているの
か――を伝えていくことになります。


そして、多くの場合、取材の記事には、

「生活保護110番の大山によれば、『20代、30代に貧困が広がってい
る』という」

というコメントが挿入されます。


2007年の取材では、表現の変化はあるにしろ、ほとんど一貫して採用さ
れたコメントは、「若者に広がる貧困」でした。


編集者も、これが「問題だ」と感じてくれれば出版へのきっかけをつかめる
のではと考えたのです。


――しかし、これだけでは足りないと感じていました。

私の書くのは、生活保護の本しかありません。おそらく、編集者はこう思う
でしょう。


    『20代、30代に貧困が広がっている』

             ↓

           これは問題だ

             ↓

       若者を生活保護で救うべきだ


この論旨展開が、一般に受け入れられるかどうか?


生活保護の専門書を出すつもりで、福祉や人権に造詣の深い出版社であれば、
このような論理展開の本でも出版に結びつくかもしれません。

しかし、私が出したかったのは、「生活保護をよく知らない、抱くのは悪い
イメージしかない普通の人たちに向けた教養書」でした。

より多くの人に、安価で手にとってもらえる本にしたい――そういう気持ち
から、私は当初から新書による出版にこだわっていました。新書の編集者の
多くは、ありとあらゆるテーマの本を手がけています。もちろん、頭のいい
人たちばかりでしょうが、すんなりと「若者を生活保護で救うべきだ」とい
う主張にうなずいてもらえるとは思えません。


私は、否、と考えました。


普通の人は、「若者が生活保護を受けるなんて、とんでもない」と考えてい
る。


少なくとも、「えっ」とは思う。


その時に、「若者に手を差し伸べなければならない」と思ってもらえるよう
な材料がどうしてもいる。

それも、言葉を尽くして訴えるのではなく、直感で「これはまずいだろう」
と感じてもらえなければ、ダメだ。


そして、用意したのがもう一枚のペーパー(切り札)です。


プレゼン当日、横田さんに一枚目のペーパーをみせると、予想通り、「これ
はすごいですねぇ」という反応が返ってきました。


その後すぐに、横田さんからこんな言葉がでました。

「でも、生活保護を受けている若い人には、不正をしている人が多いってい
うじゃないですか。車を乗り回したり、パチンコをしたりとか。若いうちか
ら仕事をせずにお金をもらうっていうのは、やっぱり違和感があるんですけ
どね」

それは確かにその通り。

自堕落な生活をする人もいるし、不正受給をする若い人もいる。それは否定
できません。


――でも、そういう意見のなかで、切り捨てられていった人がいます。彼ら
は不正受給をしたりしない(したくてもできない)。権利が守られていない
ことを、声高に叫んだりもしない。でも、誰もが「大事にすべきだ!」とい
う人たちです。


これを見てください。


そうお伝えして、切り札を差し出しました。

『生活保護vsワーキングプア』のP135のグラフがそれです。


横田さんは、そのグラフをじっと見ながら、私の話を聞いてくれました。
話を聞き終わったあと、言いました。


「この企画、ぜひ、本にしましょう」


(おわり)


*グラフがみたい人は、本屋で『生活保護vsワーキングプア』を手に
取ってくださいね。

テーマ:生活保護 - ジャンル:福祉・ボランティア

 2008/01/13 Sun 00:10:15  E d i t
生活保護110番に寄せられた相談の分析です。

世代・性別にみると、20代、30代の女性が突出しているのがわかります。特に多いのは、30代女性です。離婚による母子家庭や、派遣やフリーターとして働いていたが契約更新が難しくなりうつ病にといったケースが目立ちます。また、親の介護問題がでてくるのも、この年代からです。

一般には、「幸せな勝ち組」というイメージの強い、若い女性からの相談が多いのが、生活保護110番の特徴です。

相談件数

テーマ:生活保護 - ジャンル:福祉・ボランティア